おひとりさまの終活で今からできることとは?~老後や相続の不安事を減らすために~|一般社団法人 星月
2024/12/20
こんにちは。
岐阜県美濃加茂市で終活のお手伝いをしております、
一般社団法人星月(せいげつ)です。
近年、いろんな場所で『終活』という言葉を聞くようになりましたが、『終活」について考えた時「何から始めればいいのだろう」と思ったことはありませんか?
年を重ねて家族や親族がいない場合や疎遠になっている場合、老後や相続などに不安を感じる方は多いと思います。今回は、おひとりさまに必要な『終活』や相続対策についてお話していきたいと思います。
同居する家族がいない「おひとりさま」が増加中
「おひとりさま」とは、配偶者や子ども、兄弟など同居する家族がおらず、1人で暮らしている人のことをいいます。
ひとり暮らしの単独世帯の割合は年々増加しており、単独世帯の高齢者の割合も高まっています。
おひとりさまが増えている要因として、次のような変化が考えられます。
●結婚しない人が増えた
●離婚する人が増えた
●子どもが遠方に住んでいる家族が増えた
第二次世界大戦後まで続いた家制度の名残がなくなってきたことから、「結婚が絶対」という価値観が薄れ、結婚したとしても子ども・両親・祖父母の三世代家族の同居をする家庭が減ってきています。
このような背景から、日本におけるおひとりさまの割合が増えているのです。
おひとりさまの終活の重要性
おひとりさまのまま年を重ねると、死を迎えた時の手続きや相続についてどうするか悩む方もいると思います。
2人以上で生活している方と比べて、おひとりさまにはさまざまなトラブルやリスクがあります。
しかし、『終活』をすることでトラブル対策やリスク回避につながります。
安心して生活し、葬儀やお墓など自分の希望を実現するためにも、おひとりさまにとって終活は重要なのです。
▼生前のリスク・起こり得るトラブル
■孤独死
おひとりさまにとって、もっとも心配されていることの1つが孤独死です。
孤独死とは、誰にも看取られずに自宅などで亡くなり、長期間死亡したことに気づかれない状態のことです。
孤独死の数は年々増加しています。
孤独死の原因は、ひとり暮らしだけではありません。
経済的困窮により病院に行けないことや地域社会との関わりが希薄なことなどが挙げられます。
孤独死の死因は、心筋梗塞などの突発的な症状や持病の悪化、貧困による餓死などです。
おひとりさまは自宅で死に至ると中々発見されず、孤独死となってしまいます。
■認知症の発症
ひとり暮らしをしているおひとりさまは、認知症の症状が進行しやすいと言われています。
軽い物忘れ程度であれば日常に支障はありません。
しかし、進行してしまうと判断能力が低下してしまい、金銭トラブルや事故、迷子、火災などのリスクが出てきます。また、生活習慣病の悪化や処方された薬の飲み忘れなど、健康に害が及ぶケースもあります。
ひとり暮らしをしていると認知症に気づく家族がいないため、進行が進んでしまい事故やトラブルが急増する場合があります。少しでもおかしいと思ったタイミングで周りの人に相談し、家族との同居や施設への入所を検討する必要があります。
■身元保証人や身元引受人を確保できない
おひとりさまだと、いざという時に身元保証や身元引受を頼める人がいないというリスクもあります。
入院や施設に入所する際、多くの病院・施設から身元保証人を求められます。
身元保証人がいなければ入院や入所を断られることもあり、希望の医療・介護サービスを受けられないケースが出てきます。
他にも各種手続きにおける契約締結や財務管理などのサポートが受けられず、思わぬトラブルを招く恐れもあります。
▼相続トラブル
■財産の把握が難しい
相続において、まず始めに行うことは亡くなった方が残した財産の把握です。
おひとりさまだと、どこにどのような財産があるのかを生前に伝える人がいないため、財産の把握が難しいとされています。
家の中にあるものや居住している不動産の把握は比較的簡単です。
しかし、近年ではネットバンクやネット証券など、ペーパーレスで取引が成立していて把握が難しい財産も少なくありません。また、ローンや借入金などのマイナスの財産も把握する必要があり、手がかりを探すことが困難です。
■葬儀や遺品整理などを行う人がいない
人が亡くなると、葬儀や火葬・納骨、遺品整理・処分を行わなければなりません。
しかしおひとりさまの中には親族と疎遠で、人が亡くなった時に発生する手続きが迅速に進まない恐れがあります。
特に、賃貸住宅や携帯電話の契約など、お金が発生し続けるサービスを利用している時に解約手続きがされないまま、どんどん未払い金が増えてしまします。
■相続手続きが進まない
相続手続きが進まず、法定相続人や近隣住民に迷惑をかける恐れがあります。
相続手続きが進まない理由の1つとして、そもそも法定相続人がいないケースが挙げられます。
通常、法定相続人は配偶者と子どもですが、子どもがいない場合は両親、すでに両親が亡くなっている場合は兄弟姉妹や甥姪などになります。
しかし、おひとりさまがひとりっこで子どももいない場合は、法定相続人がいない可能性があります。
そうすると法定相続人が誰もいないため、遺産が放置されたままになります。最終的には遺産は国庫に帰属しますが、手続きに時間がかかります。
一方、法定相続人が多すぎたり、疎遠だったりすることで、相続手続きが進まないケースもあります。
例えば、疎遠だった子どもがすでに死亡していて孫が法定相続人になったり、兄弟姉妹がすでに死亡していて甥姪が相続人になるケースもあります。
法定相続人同士が希薄な関係だった場合にも、連絡手段がなく法定相続人全員が同意しなければならない遺産分割協議がまとまりません。
結果として、不動産やマイナスの財産が放置されてしまうことになります。
おひとりさまの終活(生前向けの対策)
おひとりさまが病気や認知症などによって、医療・介護が必要になった時のために『終活』をする必要があります。『終活』でしっかり準備しておけば、孤独死の対策にもなります。
安心・安全に生活をするためにもしておくべきおひとりさまの終活は次のものになります。
■適切な医療・介護サービスを受ける準備をする
高齢になると、どうしても医療・介護サービスを受けることになると思います。
おひとりさまが健康で快適な暮らしを実現するためには、対策が必要です。
例えば、次のような対策を立てておきましょう。
●かかりつけ医をつくる
●希望の病院・介護施設を決めておく
●終末期医療に関する希望を明確にしておく
かかりつけ医とは、日頃から体調不良や健康相談などでお世話になる特定の医師のことです。
定期的に診察をうけると、体の異変や認知症発症の早期発見につながり、健康状態を保ちやすくなります。
また必要になった時のために、病院や介護施設の希望を決めておくことも必要です。
なぜなら、認知症発症によって自分の意思で選べなくなると、希望の生活が送れなくなるかもしれないからです。元気なうちに気になる病院や介護施設を探しておきましょう。
さらに、希望する最期を迎えるためにも終末期医療の希望を明確にしておくことも大切です。
単に死期を伸ばすための延命措置を希望しないのであれば、尊厳死宣言書を作成しておきましょう。
家族のいないおひとりさまは、自分に十分な判断能力があるうちに意思表示しなければ自分の希望に沿うサービスが受けられなくなります。
自分にとって、適切な医療・介護サービスが受けられるように準備をしておきましょう。
■孤独死を避ける対策をする
見守り・訪問サービスを利用し、定期的に自宅に訪れる人や緊急時に駆けつけてくれる人がいる状態にしておきましょう。万が一、突発的な病気や事故などで亡くなってしまったとしても、長期間発見されないという事態を避けられます。
郵便局や警備会社など、さまざまな企業や団体が見守り・訪問サービスを提供しています。
お住まいの自治体でも見守り・訪問サービスを実施している可能性があるため、ぜひ活用しましょう。
■身元保証サービスを利用する
身元保証人や身元引受人の確保が難しいおひとりさまは、身元保証サービスの利用を検討しましょう。
身元保証人や身元引受人がいなければ入院・施設入居を断られる場合がありますが、身元保証サービスを活用すれば適切な治療や介護サービスが受けられるようになります。
営利目的としないNPO法人や一般社団法人、民間企業などが身元保証サービスを提供しています。
また、終活や相続を法的観点からアドバイスしてくれる弁護士などの専門家も身元保証サービスを提供しています。
■任意後見契約を結ぶ
任意後見制度とは、本人に判断能力があるうちに、認知症・障害に備えてあらかじめ任意後見人に代わり行ってほしいことを契約で定めておく制度です。
例えば、認知症を発症した場合に、財産管理や介護・療養に関する手続きを代行してもらうことができます。
■財産管理等委任契約を結ぶ
財産管理等委任契約とは、本人の財産の管理の一部またはすべてを本人が選出した代理人に委任する契約です。
委任できる内容は、大きく分けて財産管理と療養看護の2つです。
具体的には次のような内容を任せられます。
●銀行からの預貯金の引き出し、振込の手続き
●納税手続き
●賃貸不動産の家賃収入の管理
●要介護認定の申請
●入院、施設入所の手続き
●介護サービスの選定、契約、支払いなど
本人が信頼する第三者を選出することで、安心して生活することができます。
おひとりさまの終活(死後・相続の対策)
死後や相続対策として行っておきたいおひとりさま向けの終活は次のものになります。
■生前整理、断捨離
生前整理とは、生きているうちに身の回りの整理をすることです。
単純に家の中を片付けるだけでなく、次のようなことも生前整理に含まれます。
●不要なものの処分、不要なサービスの解約
●財産の洗い出し
●デジタル製品、デジタル財産の整理
生前整理をすると、自分が亡くなった後のモノの整理が簡単になるだけでなく、老後の生活も快適になります。
高齢になってから断捨離を始めると大変なため、元気なうちから取り組みましょう。
■エンディングノートの作成
エンディングノートとは、自分に万が一のことがあった時のために備えて、自分自身の情報や思いを書き残しておくためのノートです。
葬儀や納骨、お墓などについて自分の希望を書いておけば、疎遠になっている家族・親族がいてもあなたの思いをなるべく実現しようとしてくれるでしょう。
エンディングノートには、次のような内容を記せます。
●個人情報
●死亡時に連絡して欲しい人のリスト
●利用しているサービスのID、パスワード
●パソコンやスマホの処分方法
●ペットについて など
エンディングノートという名前ではあるものの、必ずしもノートにまとめないといけないというわけではありません。パソコンやスマホなどを使って、デジタルデータで保存しても大丈夫です。その場合には、自分が認知症になった時や死亡した時に、第三者に見つけてもらいやすいよう工夫するようにしましょう。
ただし、エンディングノートには法的な効力がありません。
必ず実現したいことがあるのであれば、遺言書や死後事務委任契約を活用するようにしましょう。
■死後事務委任契約を結ぶ
死後事務委任契約とは、自分の死後に発生する手続きを第三者に委託する生前契約です。
通常、死後に行わなければならない手続きは家族が行いますが、おひとりさまだと事務手続きが進まない恐れがあります。
死後事務委任契約で委任できることの例は、次のようなものになります。
●通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する手続き
●行政官庁等への届出
●賃貸住宅の明け渡し
●親族、関係者への連絡
●医療費、施設利用費、公共料金などの精算
●残されるペットの引き継ぎ、お世話について など
すべてを定めておく必要はなく、自分に必要な手続きのみを委託できます。
■遺言書の作成
遺言書を作成しておけば、自分の遺産を引き継ぐ人を選定することが可能です。
人が亡くなると、民法で定められた法定相続人が遺産を相続することとなります。
法定相続人は、原則配偶者と子どもです。
しかし、子どもがいなければ両親や兄弟姉妹などが法定相続人となります。
法定相続人がいない場合は、遺産はすべて国庫に帰属されます。
もし次のように考えているのであれば、遺言書を作成しなければあなたの意思は実現されません。
●疎遠になっている親族よりも身近な人に財産を譲りたい
●自分の財産が国のものになるなら社会や人のために役立てたい
遺言書では、法定相続人以外の人や団体へ自分の財産を譲り渡すことを指定できます。
おひとりさまの終活は、もしものことがあった時の備えです。
健康寿命を延ばしたり、葬儀やお墓などに関する希望を伝えたりするために重要なものになります。
今後に備え、安心して生活を送るためにも『終活』について考えてみませんか?
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