死亡した人の銀行口座の凍結と解除手続き|一般社団法人 星月
2026/04/06
こんにちは。
岐阜県美濃加茂市で終活のお手伝いをしております、
一般社団法人星月(せいげつ)です。
「亡くなった家族の銀行口座はどうなるの?」
「銀行に凍結されるタイミングはいつ?」
「凍結される前に、入院費・葬儀代の支払いのために、亡くなった方の預金を引き出してもいいの?」
など疑問をお持ちの方もいると思います。
今回は、亡くなった方の銀行口座の凍結と解除方法について紹介します。
銀行口座の凍結
▼口座凍結の条件
個人や企業・団体などの預貯金口座は、一般に次のような一定の条件を満たすと、凍結されます。
・債務整理の対象になる場合
・口座が不正取引に利用された場合
・名義人が死亡した場合
・名義人が認知症であると認められた場合
あくまで金融機関による「凍結」なので、基本的に必要な手続きを踏めばそれが解除され、資金の利用が可能になります(例えば、債務整理なら債権者への分配、死亡なら相続人による相続)。
▼死亡による口座凍結のタイミング
銀行が口座凍結をするのは、銀行が名義人の死亡を知ったときです。
「家族が亡くなると、すぐに銀行口座が凍結されてしまうのでなないか?」
「死亡届を出すと、役所から銀行に連絡されて自動的に凍結されてしまう」
と思われている方もいると思いますが、病院や役所が銀行に死亡の連絡をすることはありません。
基本的には、銀行が名義人の死亡を知るのは、相続人や家族が銀行に死亡を伝えた時となります。
ただし、銀行の職員が新聞のお悔やみ欄や葬儀の看板を見て死亡を知り、口座を凍結する可能性はあります。
また、意図していなかった場合でも、行員との会話の中で、家族が亡くなったことを話したことで、口座が凍結されてしまうこともあります。
口座が凍結されるとどうなる?
凍結された口座は、次のような状態になります。
▼入出金ができなくなる
口座からお金を引き出せなくなります。
例えば、夫婦の生活費の大半を被相続人(亡くなった人)の口座に入れていた場合、残された配偶者は当座のお金にも困ることになってしまいます。口座への入金もできません。
▼自動振替(引き落とし)ができなくなる
公共料金や税金、各種ローンなどの引き落としもできなくなります。
また、口座からの振込もできません。
▼残高照会、通帳記入もできなくなる
資金の移動だけではなく、通帳記入(記帳)もできなくなってしまいます。
相続人が残高や取引明細などの口座情報を知るためには、金融機関ごとに定められた書類(例えば、相続人であることを証明する戸籍謄本など)を用意して、開示を求める必要が生じます。
口座の凍結の解除
名義人の死亡による銀行口座の凍結を解除するにはどうしたらいいのでしょうか?
解除する方法として、次の2点があります。
①口座を解約し、預金の払い戻しを受ける。
②口座の名義人を相続人に変更する。
▼凍結解除に必要な書類
口座の凍結を解除するためには、次の書類を準備した上で、金融機関で手続きを行います。
なお、金融機関によっては、別の書類を求められることもあるので、事前に確認するようにしてください。
・相続届(金融機関により書式などが異なる)
・他に相続人がいないことを証明する資料
⇒被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本または法定相続情報一覧図(※)
・被相続人と相続人の親族関係を証明する資料
⇒相続人の戸籍謄本または法定相続情報一覧図(※)
・相続人の印鑑証明
※法定相続情報一覧図…法定相続情報証明制度により、法務局で認証を受けた親族関係一覧図。
▼相続人の状況により手続きは異なる
凍結解除の手続きは、相続人が1人か複数か、預金口座についての被相続人の遺言があるかないかによって異なります。
●相続人が1人の場合
自分の他に相続人がいない場合には、上記の書類を用意した上で、手続きを行うことができます。
●被相続人の遺言書にその口座に関する記載がある場合
上記の書類に加えて、遺言書の原本を提出すれば、凍結を解除することができます。
●相続人が複数いて、遺言書の記載もない場合
問題が起こりやすいのは、このパターンです。
この場合は、金融機関との対応の前に、遺産の分け方について、相続人全員による遺産分割協議での合意を得ることが必要になります。
遺産分割協議では、当然、被相続人の残した他の財産の分け方についても話し合われます。相続人それぞれの思いもあって、協議がなかなかまとまらず、争いに発展することも珍しくありません。
速やかに口座の凍結を解除するためには、そうした事態を防いで、円満な相続にすることが求められます。遺産分割協議がまとまれば、上記の書類に遺産分割協議書(合意文書)を添えて手続きを行います。
なお、いずれの場合にも、必要書類の提出から凍結解除までは、通常数週間かかります。
口座凍結後でも預金の一部が引き出せる「仮払い制度」
先程紹介したように口座の凍結解除には、早くても2週間程度はかかります。
また、相続人が複数人いて遺言がない場合には相続人全員の協力が必要です。
万が一、相続人の中に手続きに協力しない人や行方不明者がいる場合には凍結解除までにかなりの時間を要することもあります。そうなると、葬儀費用の支払いや亡くなった人の借入金の返済が滞ったり、残された相続人の生活が困窮したりすることもあるでしょう。
そこで、法律が改正されて令和元年7月1日から「仮払い制度」が創設されました。
この制度を使えば、各相続人が単独で凍結口座から預金の払戻しを受けることができます。
ただし、払戻しを受けられる金額には次のとおり制限があります。
「亡くなった人の死亡時の預金残高×3分の1×払戻しを受ける相続人の法定相続分」
(ただし、同一金融機関からの払戻しは150万円が上限)
仮払い制度に基づき銀行に払戻しを請求する場合には、下記の書類を提出する必要があります。
①銀行所定の請求書(申請書)
②亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本
③相続人全員の戸籍謄本
④払戻しを受ける相続人の印鑑証明書
新しい制度ということもあり、銀行ごとに多少異なる取り扱いもあるようなので、詳しくは各銀行に問い合わせたほうがいいです。
口座が凍結される前にやるべきこと
先程紹介したように、口座の名義人が亡くなったことを銀行に連絡すると、その時点で口座は凍結されてしまいます。役所への届出のように期限が決められている訳ではないので、慌てずにしっかりと事前準備をしてから銀行に連絡することをお勧めします。
▼通帳の記帳を行う
口座が凍結されるとATMで残高照会を行うことも通帳記入することもできなくなります。
記帳をしてみないとその口座の残高がいくらで、どのような取引に利用されていたのか確認することができません。銀行へ連絡する前に必ず記帳して、現在の預金残高、定期的な入出金がないか、公共料金等の引き落とし口座になっていないかを確認しましょう。
▼公共料金等の引き落とし口座を変更する
電気、ガス、水道、電話など公共料金の引き落とし口座になっている場合には、引き落とし時期を確認するとともに、名義変更や請求先の変更を行っておくと良いでしょう。
また、クレジットカードの引き落とし口座になっている場合には、カードの最終利用分の引き落としがされてから銀行に連絡するほうが余計な手間が省けます。
凍結前の出金の2つのリスク
キャッシュカードがあり、相続人が暗証番号を知っていれば、亡くなった人の口座からATMで預金を引き出すことは可能です。預金口座が凍結される前に相続人が複数回に分けて引き出しを行うケースもしばしば見られます。しかし、凍結前の引き出しには「相続放棄ができなくなる」「相続人間のトラブルの原因になる」といったリスクがあります。
▼相続放棄ができなくなる
相続はプラス財産だけでなくマイナス財産も承継します。
そこで、相続の方法として、プラスもマイナスも一切の財産を承継する「単純承認」、プラスがある場合に限り承継する「限定承認」、マイナス財産が多かったり相続手続きに関わりたくなかったりする場合に行われる「相続放棄」の3種類があります。預金を引き出すことは単純承認とみなされて、後にマイナス財産が発覚しても限定承認や相続放棄が認められない可能性があります。
▼相続人間のトラブルの原因になる
亡くなった人の死亡後に一部の相続人が預金を引き出した場合、その使い方によっては他の相続人とのトラブルに発展する可能性があります。葬儀費用など明確な使途があり、領収書などの証拠書類があればいいですが、使途不明金があると相続人間で不信感が生まれる原因となります。
亡くなった人の死亡後に引き出された預金も相続財産ですから、当然に遺産分割協議の対象になりますし、相続税が発生する場合には申告すべき財産に含まれることになります。後々のトラブルを防止するためにも死亡後の預金引き出しはできるだけ行わないほうが良いでしょう。どうしても引き出す必要がある場合には、使途を明確にすること、相続人全員の了承を得ておくことが重要です。
口座名義人が死亡したことを知った銀行はすぐに口座を凍結します。
「とりあえず連絡だけと思って銀行に死亡したことを伝えたら、すぐに口座が凍結されて困ってしまった」という声もよく聞きます。
逆に、「凍結されると困るので慌てて引き出したことで相続人間でトラブルになってしまった」というケースもあります。預金口座の相続手続きは、手続きの流れを理解したうえでしっかりと順序立てて行うことが大切です。手続きに不安がある場合や口座が凍結されて困っている場合は司法書士などの専門家に相談してみましょう。
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