実家じまいとは?|一般社団法人 星月
2026/06/01
こんにちは。
岐阜県美濃加茂市で終活のお手伝いをしております、
一般社団法人星月(せいげつ)です。
「親が施設に入ることになった」
「相続した実家をどうしたらいいのか分からない・・・」
などといったお悩みを抱えながら、実家じまいを先延ばしにしていませんか?
実家じまいとは、誰も住まなくなった親の家整理・処分することをいいます。
片付けや遺品整理だけでなく、相続登記などの法的手続き、不動産の売却・解体まで、やるべきことは多岐にわたります。
しかし、放置すればするほど固定資産税の負担増や近隣トラブルのリスクが高まり、対応が難しくなるのも事実です。
今回は、実家じまいについて紹介します。
実家じまいとは?
最近、「実家じまい」という言葉を耳にする機会が増えたように感じますが、正確な意味や「家じまい」との違いを理解している方は少ないのではないでしょうか?
まずは、実家じまいの意味と家じまいとの違いから見ていきましょう。
実家じまいとは、親が亡くなったり介護施設へ入居したりすることで誰も住まなくなった実家を、子ども世代が整理・処分する一連の活動を指します。
具体的には、家財の片付けや遺品整理、相続登記などの法的手続き、そして不動産の売却・解体・賃貸といった処分まで、すべての工程を含む言葉です。
単なる「家の掃除」ではなく、親の家にまつわる問題をまるごと解決するライフイベントだといえます。
▼家じまいとの違い
似た言葉に「家じまい」がありますが、これらは「誰が・いつ」処分するかという点で異なります。
| 項目 | 実家じまい | 家じまい |
|---|---|---|
| 処分する人 | 子ども・親族 | 家主本人 |
| タイミング | 親の死亡・施設入居後 | 終活・引っ越しなど |
| 感情的負担 | 大きい(思い出の品が多い) | 比較的小さい |
| 法的手続き | 相続登記など複雑になりやすい | 比較的シンプル |
実家じまいは本人に代わって子どもが判断・決定しなければならない場面が多く、家じまいよりも精神的・手続き的な負担が大きい傾向があります。
▼実家じまいが注目されている理由
実家じまいが社会的に注目を集めるようになった背景には、深刻化する空き家問題があります。
総務省の調査によると、全国の空き家数は約900万戸に達し、住宅全体に占める空き家率は過去最高の13.8%を記録しました。
さらに2024年4月1日からは、不動産登記法の改正により相続登記の申請が義務化されました。
不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があります。
こうした法改正の影響から、実家じまいを早急に検討する方が増えているのです。
実家じまいを始めるタイミング
実家じまいのタイミングは、家庭の事情によってさまざまです。
しかし、適切なタイミングを逃すと手続きが複雑化したり、費用が余計にかかったりするリスクがあります。
ここでは、代表的な4つのタイミングについて紹介します。
▼親が施設に入所したとき
親が介護施設や高齢者向け住宅へ転居した際、実家が空き家になります。
この時期は親がまだ健在なため、一緒に荷物の仕分けや形見分けの相談ができるというメリットがあります。
ただし、認知症が進行して判断能力が失われると、不動産の売却などの重要な法律行為ができなくなります。
その場合、成年後見制度の利用が必要となり、手続きに数ヶ月以上かかることもあるため、親が意思能力を持っているうちに動き出すことが大切です。
▼相続が発生したとき
親が亡くなり相続が発生した場合は、速やかに実家じまいの検討を始めましょう。
相続した不動産を放置すると、固定資産税の支払い義務が生じるだけでなく、建物の劣化が進むと売却条件が不利になることも多いです。
また、先程紹介したとおり2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が課される場合があります。相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内という期限もあるため、早め早めの行動が重要です。
▼空き家の維持管理が負担になったとき
すでに空き家となっている実家の管理が、体力的・経済的に限界を感じてきた場合も実家じまいのサインです。定期的な草刈り・掃除・水道管理、固定資産税の支払いなど、使わない家のために払い続けるコストは積もり積もれば大きな負担となります。
放置が続くと、自治体から「管理不全空家」または「特定空家」として指導・勧告を受ける可能性があります。勧告を受けると、住宅用地の固定資産税等の特例が外れ、税負担が重くなるおそれがあります。
▼親が元気なうちの「生前」の実家じまい
実は、親が元気で意思能力がある「生前」のタイミングが、実家じまいを最もスムーズに進められる時期です。
- 〇残したい物・処分する物を親本人が判断できる
- 〇思い出の品を一緒に整理でき、感情的なトラブルが起きにくい
- 〇時間的な余裕があるため、業者の相見積もりや売却活動を焦らず進められる
- 〇相続発生後に比べ、法的手続きがシンプルになる場合が多い
「縁起が悪い」と感じる方もいるかもしれませんが、生前に家族で将来の方針を話し合っておくことは、後のトラブル防止にもつながります。
実家じまいにかかる費用の相場
実家じまいにかかる費用は、荷物の量・実家の大きさ・処分方法によって大きく異なります。
事前におおよその相場を把握しておくことで、資金計画を立てやすくなります。
▼荷物整理、遺品整理の費用の目安
遺品整理・不用品回収を専門業者に依頼する場合の費用相場は、概ね10〜40万円が目安とされています。
ただし、間取りや荷物の量によって大きく変動します。
| 間取り | 費用相場 | 作業人数の目安 | 作業時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1R・1K | 約3万〜8万円 | 1〜2名程度 | 1〜2時間程度 |
| 1DK | 約5万〜12万円 | 2〜3名程度 | 2〜4時間程度 |
| 2LDK | 約12万〜30万円 | 3〜6名程度 | 3〜8時間程度 |
| 3LDK | 約17万〜50万円 | 4〜8名程度 | 5〜12時間程度 |
| 4LDK以上 | 約22万〜60万円 | 4〜10名程度 | 6〜15時間程度 |
※上記はあくまで目安です。特殊清掃が必要な場合や、物量が極端に多い場合は追加費用が発生します。
▼不動産売却、解体にかかる費用
荷物整理以外にも、不動産の処分に伴うさまざまな費用が発生します。
- 〇仲介手数料:売買価格×3%+6万円+消費税(上限)が一般的な計算式。
- 〇解体費用:木造20坪で70〜120万円、30坪で105〜180万円程度が目安。
- 〇引っ越し費用:荷物量・距離によって異なりますが、一般的に10〜30万円程度。
- 〇司法書士報酬:相続登記を依頼する場合、1件あたり5〜15万円程度が相場。
▼実家じまいの費用を抑えるポイント
- 〇複数の業者から相見積もりを取る
- 〇売れる物は買取に出す
- 〇自分でできる範囲を先に片付ける
遺品整理・解体・不動産会社いずれも、最低3社程度の見積もりを比較することで適正価格が把握できます。
また、買取サービスのある遺品整理業者に依頼すれば、不用品の一部が現金化でき、処分費用の圧縮につながります。
さらに業者に依頼する前に、家族で衣類・食器・小物などを自力で仕分けておくと、業者の作業量が減り費用を大幅に抑えられます。
実家じまいの際に発生する税金
実家じまいでは、不動産の売却や相続に関連して複数の税金が発生します。
知らないと思わぬ高額納税につながるケースもあるため、事前にしっかり把握しておきましょう。
▼相続税
親が亡くなり不動産や預貯金などを相続した場合、相続財産の総額が一定の基礎控除額を超えると相続税の申告・納税が必要です。
申告期限は相続開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。
期限を超えると延滞税や加算税が課される場合があるため、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
▼譲渡所得税
相続した実家を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、譲渡所得税が課されます。
計算:譲渡所得=売却価格 − 取得費 − 譲渡費用
ここで注意が必要なのが「取得費」の扱いです。
親が購入した当時の売買契約書などの証明書類を紛失していると、税法上は売却価格の5%しか取得費として認められません。
その結果、売却価格の95%が課税対象となり、税負担が大きく膨らむ可能性があります。
書類の保管状況を事前に確認しておきましょう。
▼固定資産税
実家を所有している間は、たとえ空き家であっても毎年固定資産税の支払い義務があります。
通常、住宅用地には「住宅用地特例」が適用され、固定資産税が6分の1に軽減されています。
しかし、実家が「特定空き家」や「管理不全空き家」として自治体に指定されると、この軽減措置が解除され、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。毎年の税負担が急増する前に、早期の実家じまいを検討することが賢明です。
実家じまいを後回しにするリスク
「いつかやろう」と先延ばしにするほど、実家じまいはより大変になります。
放置することで、次のようなリスクが起こり得ます。
▼空き家の老朽化、近隣トラブルへの発展
誰も住まなくなった家は、急速に老朽化が進みます。
放置された空き家が引き起こす主なリスクは次のとおりです。
- 〇屋根・外壁の劣化による倒壊の危険性
- 〇庭の雑草・樹木が隣の敷地にはみ出すことによる近隣トラブル
- 〇害虫・害獣(ネズミ・ハチなど)の発生源になる
- 〇不法侵入・不法投棄のリスクが高まる
- 〇老朽化した屋根が落下し、通行人に怪我を負わせる可能性
万が一これらの問題が発生した場合、所有者として損害賠償責任を問われるケースもあります。
▼特定空き家に指定されると、固定資産税が最大6倍になる
2023年の法改正(空家等対策特別措置法の改正)により、倒壊の危険性や衛生上の問題がある空き家を「特定空き家」、適切な管理が行われていない空き家を「管理不全空き家」として自治体が指定できるようになりました。
いずれかに指定されると、住宅用地に適用されている固定資産税の軽減措置(6分の1)が解除され、税額が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。近隣に迷惑をかけるだけでなく、経済的な打撃も大きくなるため、早期の対応が不可欠です。
▼相続登記を放置すると10万円以下の過料が課される
2024年4月から施行された改正不動産登記法により、相続で不動産を取得した場合、相続を知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があります。
また、2024年4月以前に相続が発生していて未登記の不動産についても義務化の対象となり、2027年3月31日までに登記を完了させる必要があります。放置すれば将来の売却や担保設定の際に手続きが複雑化するため、早急な対応をおすすめします。
▼先延ばしにするほど費用と手間が増える
実家じまいを遅らせることで、費用と手間は雪だるま式に増えていきます。
- 〇物量が増え、処分費用が膨らむ
- 〇不動産の劣化が進み、売却価格が下がる
- 〇自分自身も年齢を重ね、体力的な片付け作業が困難になる
- 〇相続人が増えると(二次相続)、遺産分割協議が複雑になる
- 〇税制の特例(3,000万円控除など)の期限が迫り、適用できなくなる恐れがある
「動けるうちに動く」ことが、結果として費用と心理的負担の両方を最小化する最善策です。
実家じまいは、手続きの複雑さや感情的な負担から、つい先延ばしにしてしまいがちです。
しかし放置するほど、固定資産税の増加・老朽化・相続登記の義務違反など、リスクと費用は雪だるま式に膨らんでいきます。
まずは親族で話し合い、「実家をどうするか」の方針を決めることが第一歩です。
荷物整理・法的手続き・不動産処分と、やるべきことは多岐にわたりますが、司法書士・税理士・不動産会社などの専門家をうまく活用すれば、スムーズに進めることができます。
「動けるうちに動く」ことが、実家じまいを成功させる最大のポイントです。
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